国土交通省レポートから見る2050年日本の風景

 個人の未来を予測することは、難しいことです。しかし、社会の動きを予測することは、難しい事ではありません。なぜなら、様々な統計数値から、特定の部分に関しては、確実にくるであろう未来を予測することができるからです。

 

 平成23年2月21日。東日本大震災の訳20日前に、国土交通省より発表されたこのレポートは、震災後の混乱もあり、あまり注目されているとは言えません。しかし、冷静に、日本の危機を警告していると意味で、秀逸なものの一つと言ってよいと思います。

 

 レポートは、下記のサイトからダウンロードできますし、本コーナーの最後に、ダウンロードの為のコーナーも設けています。


 「国土の長期展望」中間とりまとめ 概要

 

このレポートでは、まず、現在の統計データ及び出生率データによる、人口の推移の分析から始まります。その結果は、以下の通りです。

 

現在の出生率のままと仮定すると、日本の人口は、2050年には約9,500万人。2100年には、3,770万人~4,771万人という、明治維新の時代並みの人口に減少するであろう事が予測されています。

その結果、どのようになるか、予測がされています。


現在、日本にて人間が住んでいる地域の内、約20%が無人化。約20%が75%以上の人口減少(4人に1人以下になる)、24.4%が人口が半分以下になると予測されています。

人口の減少自体は、それに合わせた経済スタイルを整備してゆけば良い為、大きな問題ではないと思われます。しかし、今、人が住んでいる所が無人化、大量に人口減少してゆく状態は、非常に問題があると言えます。

まずは考えてください。果たして、無人化した、もしくは人口が今の4分の1になった地域で、お店の経営は続けられるでしょうか?コンビニ、スーパー、八百屋、魚屋、パン屋。今あるお店は、どうなってゆくでしょうか。恐らく、経営は成り立たず、廃業が相次ぐのではないでしょうか。

そうした、無人化した地域の土地に、果たして「値段」が付くでしょうか?結果、日本の土地の6割以上の地域で、土地価格が下落・無資産化する可能性が高くなっています。

人口減少という問題は、経済問題であり、その結果は、格差の拡大や治安の悪化、妬みや恨みの連鎖等、国民間の感情に、深刻な影響が発生するのではないかと懸念しています。

まさに、今は、「これまで経験したことがない新たな現象が進行」している日々なのです。

そうした状況かの日本を、どうしていくかについては、いくつかの考え方があります。それは、このレポートにも示されています。

この中には、「人口置換水準ケース」「フランス並み水準ケース」「このままのケース」が示されています。

フランスは、出生率が回復した国の一つです。1994年1.66→2006年2.00→2012年2.01となっています。

理由はいくつかあります。

一つは、社会制度の変化です。下記に詳しいレポートが記載されています。

また、理由の一つに、移民の出生率の高さを挙げ、その危険性を論じる意見もあります。

移民政策の本当の怖さ

こうした、移民受入が原因で出生率が回復したという意見に関しては、冷静に論じるべきという意見もあります。いずれにせよ、出生率が2.0程度まで回復をすれば人口は維持できることになります。



では、「人口置換水準ケース」とはなんでしょうか?レポートを見ると、以下のように記載されています。


(注)「人口置換水準ケース」:2008年における人口置換水準(一定の死亡水準の下で、人口が長期的に増えも減りもせずに一定となる出生の水準。合計特殊出生率:2.07)を前提条件とした将来人口推計。


これは、「移民政策」のことを意味していると思われます。よって、上のグラフは、「移民にせよ、社会政策にせよ、何か対策を打たなければ、2100年までに日本の人口は、4,700万人になる可能性があるぞ」と言っています。

その結果、下記のような記事が発表されています。

2050年まで、あと35年。あわてる必要はありませんが、日々、時間は進んでいます。それぞれが、冷静に考えなければなりません。


■どのように生きてゆけばよいか?

■子供やその子供の世代の日本はどうなるか?そして、自分は今、何をすべきか?

■これから何が起こり、自分はどう行動するべきか?

たとえ人口が減っても、日本が滅びることはありません。しかし、一度拡大した経済活動が縮小してゆく時、多くの悲劇が生まれる可能性はあります。なぜなら、流通する「お金」自体が減ってゆくからです。競争はますます激しくなり、就職はますます難しくなり、拝金主義はますますはびこり、人の心はますます荒んでゆくかもしれません。

最近の若い世代が起こす事件の数々に、その予兆を感じざるを得ないのです。


そして、「考えない大人、考えない人間」が多くなった時、その地域が衰退してゆくことは、歴史が証明しています。